【親の介護の破産を防ぐ】かさむ在宅医療の費用に民間保険は必要?

在宅医療費用の不安と保険
 

政府は医療費を抑制するために、療養患者の入院ベッド数を減らしていることから、今後、ますます長期の入院が難しくなりそうとの事。
 

日本在宅医療学会理事長 城谷さんは「高度な治療を行う病院を退院して、在宅医療を勧められるケースは増えていく」と言います。
 



在宅医療は増えている?

最近、昔の様に訪問診療をして下さる お医者様が増えています。高齢化が進み、入院せずに自宅などで在宅医療を受ける人も増えています。実は私の父もその一人。自宅で医療行為を自分で行う生活をしています。
 

多少認知症の症状が出始めていた頃があったのですが、それでも在宅医療を自分でしなければなりません。最近は末期がんや人工呼吸器を必要とするような 重症の患者さんも在宅医療の方が多いそうです。
(この記事を書いたのち、2023年の末から2024年の春先まで、母が末期がんで在宅緩和ケア=在宅医療となりました。24時間介護を経験しましたので、記事最後に「末期がん在宅医療のお金の話」も追記しています。)
 

自宅で最期を迎えることは、もはや珍しくはないと、日本在宅医療学会の城谷典保理事長は言います。厚生労働省の推計では2014年に在宅医療を受けた患者数は 1日あたり約15.6万人。2005年の約6.5万人から2.4倍に増えています。
 

(2024年、あちこちで在宅医療を行う診療所も見られるようになってきました)

在宅医療保障の特約が付いた保険

そこで最近は、入院や通院だけでなく、基本の保険料に数十円から 千数百円の特約保険料の付いた 在宅医療も対象になる保険が出てきています。2016年10月16日 読売新聞に在宅医療費についての記事が出ていました。
 

保険会社SBI生命
終身医療保険「も。」
 明治安田生命
メディカルスタイルF
マニュライフ生命 
With PRIDE
 フコクしんらい生命
医療自在FS
特約終身在宅医療特約 退院後通院治療保障特約 在宅治療特約 特定在宅治療支援特約

 



在宅医療保障の特約は必要なのか

新聞にも書いてありましたが、在宅医療にかかる医療費は 一定の範囲に収まるのが一般的との事。私の父も在宅医療を受けていますが、確かに 公的医療保険 のお蔭で生活を圧迫することはありません。
 

ただ、介護ジャーナリストの小山朝子さんによると、滅菌ガーゼやカテーテルなど 日常のケアに使う医療関連品を自己負担することもあるそうですし(私の父もそうです)生活費や介護費がかさむこともあるようです。きっとその費用は医療行為によって、全く異なってくると思います。
 

医療サイト「QLife」の昨年度の調査では 在宅医療を受ける患者の家族の76%が 「費用を負担に感じている」と答えています。
 

保険相談で、この件について聞いてきました。

在宅医療保険が気になりましたので、 無料保険相談7社 体験比較!「人気窓口」どう選ぶ? にも書いたある窓口に相談に行きました。
 

その窓口の担当さん曰く、まだまだ在宅医療保険の特約を付けている保険会社は少ない。 ただ、在宅医療保険は民間の介護保険とほぼ変わらないのでは?とのことでした。
 

しかし、とはいえ担当者は、介護経験も在宅医療経験もない訳です。それを聞いて、在宅医療中の父を持つ私は、そんな気もしますし、そうではない気もしました。
 

例えば、私の父は在宅で透析をしていますが、国の介護認定の対象ではありません。なので在宅医療保険の対象になるとしても、介護保険の対象にはなりません。父のような場合には、民間 在宅医療保険の特約は検討の余地があります。
 

ただ、支払う保険料と受け取れる給付金額との兼ね合いは・・どうですかね・・?父の場合は在宅医療であっても 殆ど付随する費用はかかりません。。
 

結果、やはり保険に加入するかどうかは、人それぞれ状況が異なります、在宅医療保険特約のある時代だという事を知り、検討してみる価値はあると思います。
 



まとめ

基本的に私自身は、保険はあまり必要ないと考える派です。保険に加入するよりも、どれだけ保険料を省けるか?節約できるか?を考えながら保険の見直しをしています。その節約で、いざという時の医療に使えるお金を増やしています。
 

今回の在宅医療の特約に関しても 結果、必要ないのではないか?と考えていますが、ただ、それは今の父での話です。(※その数年後の母の末期がんによる在宅医療のお金の話は、記事の最後に追記しています)
 

これから高齢化が進む日本での、「私自身の老後」に関しては、公的保険も減らされていくでしょう、年金も減らされていくでしょう。私の老後は、今よりもっと、お年寄りが増えた社会です。現在の様に、国が助けてくれないでしょう。
 

今の在宅医療特約は、月数十円~千数百円で済むかもしれませんが、今後は特約では無く在宅医療自体の保険 が登場するかもしれません。
 

加入しておいた方がお得な時代がやってくるのか?不要なのか・・・?皆さんはどうされますか?
 

将来設計は、ファイナンシャルプランナー等の専門家に 相談できます。私も定期的に相談しています。

 

追記:末期膵臓癌の母を在宅医療で看とったお金の話

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2023年の年末、母が末期の膵癌と分かり、すぐに担当医師より在宅医療を勧められました。
 

膵癌は特に見つかりづらい癌ですので、見つかった際には診断と同時に「いつ急変してもおかしくない」と医師より説明を受けるほどの病状。そこでもう年齢を考えても病状を考えても、辛い治療は本人にとっては苦しいだけであろうと、少しでも穏やかに人生の最後を迎えられるようにと、自宅での緩和ケアを勧められました。
 

その日のうちに在宅医療の診療所を紹介され、あれよあれよという間にお医者さんが家に往診に来て下さるようになりました。あれよあれよという間に、看護師さんが週に2回来て下されるようになりました。あれよあれよという間に・・・訪問入浴が始まり、ヘルパーさんが一日に2回来てくれるようになり。。
 

生活は一変しました。膵癌だったため進行も早く、一週間ごとに悪化していきましたし、トイレに行けなくなり歩けなくなり、寝たきりになりました。そしてそれまで元気にデイサービスに通っていた母が、2か月弱で静かに息を引き取りました。
 

想い出や辛かったこと等々、短い期間の中で色々ありましたが、ここでは末期の在宅医療でどのようなお金がかかったかを書いてみたいと思います。
 

在宅医療でかかる費用

まず在宅医療でかかるお金は、母の場合は訪問医療でかかる診療所代、訪問看護でかかる看護ステーション代、訪問入浴代、ヘルパーさん代、福祉用具レンタル代でした。
 

診療所代と看護ステーション代は医療保険を使って支払い、訪問入浴とヘルパーさん、福祉用具レンタル代は、介護保険を使って支払います。
 

保険がきく治療費などに関しては、さほど苦しくはなく感じたのですが、何より生計を圧迫したのは、食事代、紙おむつ代、などの薬局でのお買い物費。
 

私自身は一人っ子でしたので、全面的に一人で母を介護しましたが、その為介護疲れは甚だしかったです。そうなってくると食事は作れず、出来合いのお惣菜を購入してくるようになります。その食事代が、まず先にかかりはじめました。
 

また排尿排便によるおむつ替えが頻繁になり、オムツ代もバカになりませんでした。オムツの中に入れる吸収パッドにと大人のおむつ代は1パック30枚弱で2000円程。それが(人によるかもしれませんが)あっという間になくなります。費用もバカになりません。介護2以上なら介護保険からおむつ代も補助が出る位、おむつ代が家計を圧迫しはじめます。
 

また、病状が進み食事が取れなくなってくる頃には、介護者の疲弊具合も激しくなってきます。夜は眠れない、おむつ替えで体力は使う、せん妄を起こす母と向き合う事日々が続き心も疲弊してくるなどにより、時間の感覚もなくなってきますし、朦朧としてきます。結果、介護食を買うようになりました。
 

薬局の介護食の良い所は、市販されている介護食は、とろみの具合が丁度良く、与えやすくなっていることです。自分で介護食を作るとしても、とろみの具合を間違えると誤嚥を起こしてしまいます。また看護師さんからは、どの位食べたか?飲んだか?などを聞かれますので、市販の介護食などの場合、自分で作るより、看護師さんに食べた量、飲んだ量の説明もしやすくなります。
 

ただ、この介護食が高い。小さな一袋200円程度するものが多いのですが、となると1食に3種揃えたとして600円。一日3食で2000円弱。1週間で14000円程になります。食事だけで1か月6万円弱です。病院食は一食200円程度で一日600円程度と思うとひと月で18000円位。となると在宅医療の方が4万円程高くなります。
 

その他におむつ取り換え用などの手ぶくろ、おしりふき、消毒用のアルコール、上手に排泄が出来なくなりトイレが汚れやすくなれば、それに付随した衛生用品も必要になります。
 

そんな日々の中で私の場合は、薬局に通い詰めになりました。Amazonの置き配も使いながら労力を少しでも少なくしたり、割引クーポンを使いながら月に数万円が飛んでいったのです。
 

結局のところ、介護の費用は医療費だけではありません。介護者の疲れもあり節約できない費用も沢山出てきます。「在宅」という響きは「入院」よりも費用が掛からないような錯覚も起こしますが、実は気づかない所に大量のお金が飛んでいく、思いもかけない費用がかかる事があります。