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意外と知らない【2万1000円の壁】高額療養費制度が身近に使える話

老後資金

歯の治療をするとき「 保険治療」と「自費(自由)治療」、どちらを選んでいますか? 「高いお金を出してでも、良い素材で長持ちさせたい」と思うかもしれません。

実は筆者も、過去に高額な自費治療を選んで、ものすごく後悔した経験があります。

その苦い失敗談と、その後に知って驚いた「 健康保険の、知る人ぞ知るおトクな仕組み」についてお話しします。

高いから良いとは限らない?「歯」の失敗談

数年前、私はある歯の治療で、思い切って高額な自費治療を選びました。 「これできっと長持ちするはず!」と信じていたのですが……なんと、わずか2年でダメに。

しかも高額な歯がであったが故、レントゲン上で異常が無ければ、その歯冠を外すに至らず、あまりの苦痛に、やむを得ず歯冠を外してみた時には 既に時遅し、歯の土台が悪くなってしまっていました。

高額な歯を入れたがゆえに、なかなか異常が見つからなかった体験談です。その後、私は同じ場所を「保険治療」でやり直すことに決めました。

保険治療にして気づいた「お金」の大きな違い

保険治療を選んでみて、改めてその医療費の安さに驚きましたが、それと同時に、ある「驚きの公的制度」の存在を知りました。

自費治療のときは、どんなに高額であっても、国の「高額療養費制度(※)」は1円も使えません。すべて自己負担です。 (※医療費が高額になったとき、国が定める上限額を超えた分が後から戻ってくる制度)

ですが、保険治療であれば、安く治療できるだけでなく、条件を満たせば「高額療養費制度」の対象になって、さらにお金が戻ってくる可能性があります。

そのカギを握るのが、高額療養費の「世帯合算(2万1,000円ルール)」です。

知らない人が多すぎる「2万1,000円の壁」

「高額療養費制度なんて、1ヶ月に何十万円も医療費がかかるような大手術のときしか使えないでしょ?」 そう思っていませんでしたか?実は、違います。

70歳未満の方の場合、同じ月(1日〜末日)の間に、1つの病院の窓口で払った自己負担額が「2万1,000円以上」であれば、他にかかった医療費と「合算(足し算)」して、上限を超えた分を請求することができます。世帯合算できるので、同じ医療機関ならば、家族の分も合算できます。

例えば、私の歯の保険治療。少し大がかりな治療になると、1ヶ月の窓口負担が軽く2万1,000円を超えることがあります。

もし、同じ月に……

  • 娘: 歯医者Aで 15,000円
  • 夫: 同じ歯医者Aで 7,000円

がかかっていたとしたら、同じ月・同じ病院なので、この2つを足して「21,000円」として計算(合算)することができます。

そして、このようにそれぞれの医療機関の世帯合算額が「2万1,000円」をクリアした額は、最終的に「わが家の1ヶ月の医療費の合計」としてすべて合算できます。

その合算した額が、国が定める上限額(一般的な収入の家庭なら約5万7,600円など)を超えた場合、その超えた分が後から戻ってくるのが「高額療養費制度」です。

高額療養費制度は、「大きな手術や入院をしないと使えない」と思われがちですが、実は違います。

家族の通院が重なった月などに、意外とコツコツ領収書を集めることで、「世帯単位+1ヶ月単位」でお金が戻ってくることがあるということです!

※ただし、「入院と外来」「医科(内科など)と歯科(歯医者)」は別々に計算するという細かいルールもありますが、まずは「同じ月に同じ病院で2万1,000円」と覚えておくだけで大違いです。

💡高額療養費制度の払い戻しを受けるには2段階の壁があります。まず、2万1000円ルールに該当する支払いが、他の医療費と合算可能になります。そしてその額が月の限度額を超えた時に高額療養費制度の対象となり、お金が戻ってきます。

同じ月の中での支払いケース2万1,000円ルール合算できる?
A病院(歯医者)で 25,000円 払った21,000円以上できる ⭕️
B病院(内科)で 30,000円 払った21,000円以上できる ⭕️
C医院(皮膚科)で 15,000円 払った21,000円未満できない ❌
D歯科(自費治療)で 100,000円 払った保険外診療できない ❌

🚨【超重要】私がやらかした もう一つの大失敗「月跨ぎの罠」

ここまで読んで、「じゃあ、次の歯の治療の時はしっかり1か月内で2万1,000円を意識しよう!」と思った方に、どうしてもお伝えしたい注意点があります。

私の失敗談ですが、 保険治療、「治療を始めた月」と「新しい歯を入れてお会計をした月」が、見事に月を跨(また)いでしまいました。

高額療養費のルールは、容赦なく「1日〜末日までの1ヶ月単位」で区切られます。

  • 5月25日の治療代: 12,000円
  • 6月 5日の歯の代金: 15,000円

総額では2万7,000円かかっているのに、月がズレてしまったせいで、どちらの月も「2万1,000円の壁」を突破できず、合算の対象外(全額ただの自己負担)になってしまっています。

もし、これが両方とも「同月」に予約をねじ込んでお会計をしてい、軽く2万1,000円を超えて、他の医療費と合算できていたかもしれません。

「知らない」ということは、こうして静かにお金を失っていくということである、と身を以て痛感しております。まさに、情報の手強さを思い知らされた瞬間です。

まとめ:選択肢を広げる「大人のマネーリテラシー」

自費治療には「見た目が美しい」「より馴染む素材が使える」といったメリットがもちろんあります。ですから、どちらを選ぶかはその方の希望や判断です。

しかし、「保険治療には、高額療養費の合算ルールという強力な味方がついている」という事実を知った上で選ぶのと、知らずに選ぶのとでは、選択も変わってくるかもしれません。

あのとき、高いお金を払って後悔した私だからこそ、今の保険制度の手厚さが身に沁みてわかります。

医療費が増えがちな私たち世代。 ぜひ、この「2万1,000円のルール」を頭の片隅に置いて、賢く心強い医療の選択をしてみても良いかもしれません。

スケジュールは「月内」「家族分」をまとめる!

また、もし皆さんが、これから歯でなくても、ちょっと高額になりそうな検査や治療を受けたりするときは、先生と相談して「できるだけ同じ月の中で治療が完結するように、スケジュールを詰めることができるか?予約を入れてみるのも良いかもしれません。

月末から治療をスタートするくらいなら、いっそ翌月の月初からスタートした方が、1ヶ月の中に医療費をまとめやすくなるかもしれませんので。

また(先に例でも出しましたが)『世帯合算』という名前の通り、自分一人じゃなくて、同じ 健康保険に入っている家族の分も足して大丈夫です。 例えば、私が1万5,000円、同じ月に家族が同じ歯医者さんで1万円払っていたら、合わせて2万5,000円になり『2万1,000円の壁』を突破できます。家族で同じ病院に通っている方は、領収書を絶対にバラバラに捨てないようにされてくださいね。

医療費控除との併用について

高額療養費は、病院にかかってから実際にお金が振り込まれるまでに3ヶ月〜4ヶ月ほど時間がかかります。 そのため、年末(12月)治療をすると、「確定申告(2月〜3月)の時期までに、高額療養費がいくら戻ってくるかまだ確定していない!」という事態がよく起きます。

「高額療養費でいくら戻るかまだ分からない時は、医療費控除は3月15日までの確定申告が終わっても提出できるので、慌てて申請しなくても大丈夫です。焦って医療費控除を諦めないでくださいね。

「高額療養費」でまず国に守ってもらい、それでも残った自己負担分は「医療費控除」で税金を安くしてもらう。この2段構えの防衛策を知っておくだけで、老後のお金の安心感はケタ違いに変わります。

最後に:国や会社は「教えてくれない」という現実

「お父さんと娘が同じ歯医者に通って、合わせて2万1,000円を超えた」 そんなこと、 保険組合のコンピュータはわざわざ見つけてくれません。

お金に関する公的な制度のほとんどは、『知っている人が、自分で気づいて、自分で申請したときだけ』守ってもらえる仕組みになっています。

医療費の領収書は、ただの『支払いの証明書』ではなく、『お金を戻してもらうためのチケット』のようなものです。 家族みんなの領収書をひとつの場所に集めて、月末に同じ医療機関で『2万1,000円を超えているものはないかな?』と宝探しのようにチェックする習慣をつけてみてくださいね。

薬局(お薬代)の嬉しいおまけルール

さらに「隠れボーナスルール」も一緒にお伝えしておきます。

病院のすぐ前にあるような院外薬局(調剤薬局)でもらうお薬代は、「その処方箋を出してくれた病院(診療科)とセット」として扱われます。

つまり、

  • A総合病院(内科)の診察代:15,000円
  • A病院の前にある薬局のお薬代:8,000円

という場合、薬局は別のお店ですが、内科の処方箋なので病院の分と足して 例:23,000(2万1,000円超えで⭕️)とカウントしてくれます!もちろんこれも家族分を合わせて計算できます。

今日から出来るシニア時代を見据えた知恵

また「老後の医療費を賢く抑えるなら、『家族みんなで同じ総合病院をホームグラウンドにする』というのも強力な作戦です。

あちこちの病院にバラバラに通うのをやめて、信頼できるひとつの総合病院に家族の科をまとめる。 そうするだけで、バラバラでは切り捨てられていた『2万1,000円未満の医療費』がひとつの大きな束になり、高額療養費制度という国の強力な盾で守ってもらいやすくなります。

体の 健康を守るお医者さん選び。同時に、『お財布の健康も守ってくれる選び方』があるということも、知っておくだけで いつか役に立つかもしれません。

迷ったらどうする?「領収書を持ってプロに聞こう!」

「難しくて自分で計算できるか不安……」という方も大丈夫。 家族で同じ病院に通って「これ、合わせて2万1,000円を超えてるかも?」と思ったら、健康保険証に書いてある「保険組合」の窓口に電話して、直接聞いてみてください。

🗣️ 電話での聞き方例 「同じ月の中に、同じ総合病院に家族でかかって、2万1,000円を超えそうな領収書がいくつかあります。これって『世帯合算』で払い戻しの対象になりますか?」

手元に領収書を用意してこう聞けば、プロがその場で優しく計算して教えてくれますよ!