例えば、歯の治療をするとき、 「保険治療」と「自費治療」、どちらを選ぶか迷ったことはありませんか。
「高くても良い素材を選んだ方が長持ちするはず」 そう思って、私もかつて高額な自費治療を選びました。 しかし、結果はまさかの 2年でダメに。
そしてその後、私は “保険治療には、実はとても強力な公的制度が使える” ことを知りました。 ただし、この制度には 正しく理解しておかないと損をする落とし穴 があります。
この記事では、歯の治療に限らず「高額療養費制度」と「2万1,000円ルール」の正しい仕組み を解説しています。各種治療の際に、少しでも知識として持っておくと、選択肢を考える際の役に立つかもしれません。
保険治療にして気づいた「お金の違い」と制度の存在
自費治療はどれだけ高額でも 高額療養費制度の対象外。 すべて自己負担です。一方、保険治療なら、 条件を満たせば高額療養費制度でお金が戻る可能性があります。そのカギになるのが 「2万1,000円ルール」 と呼ばれる仕組みです。
誤解されやすい「2万1,000円ルール」の本当の意味
高額療養費制度は、大病をしている人のため=その名の通り高額な医療費がかかっている人だけが使える制度、と多くの人が誤解しているのですが、実は “医療費が21,000円を超えたら家族の医療費と合算でき、お金が戻って来る” 制度です。
月に何十万もの 高額な医療費がかかっている人だけのものではありません。私たちが不通に通院するときにも発生して、お金が戻ってくる可能性があります。まずはその高額療養費制度に該当するかどうかの計算方法を下記にまとめます。
【制度に忠実な正しいルール】
医療機関 × 診療科 × 月ごとに区切る
月の医療費の計算は、
- 歯科は「歯科」
- 内科は「内科」
- 病院が違えば別カウント
- 個人ごと に計算します。
その区切りごとに、自己負担が 21,000円を超えたものだけを抽出
⇒ 世帯合算の対象になる
⇒ 個人の各病院の医療費 21,000円未満は合算に入れられない(切り捨て)
⇒ 家族でも、医療機関が違えば合算不可
になります。
例:正しい判定イメージ
| 医療機関・診療科 | 自己負担 | 21,000円ルール | 合算対象? |
|---|---|---|---|
| A歯科(本人) | 25,000円 | 超えた | ⭕ 合算に入る |
| B内科(家族) | 15,000円 | 未満 | ❌ 入れられない |
| C歯科(家族) | 18,000円 | 未満 | ❌ 入れられない |
| D歯科(自費) | 100,000円 | 保険外 | ❌ 完全対象外 |
「月またぎの罠」
また高額療養費制度は 1日〜末日までの1か月単位 で計算されます。例えば 治療の開始と、歯を入れた日が月をまたいでしまい、
- 5月:12,000円
- 6月:15,000円
となった場合、どちらも 21,000円未満 → 合算対象外。となります。もし同じ月にまとめていれば、 21,000円を超えて合算に入れられた可能性が出てきます。
合計が「所得区分の上限額」を超えたら払い戻し
家族の医療費を、先に記載したように 医療機関ごとに計算 します。全部足して、※収入ごとの限度額 を超えたら、その分の医療費が戻ってきます。
※収入ごとの限度額⇒ 例えば、70歳未満・一般所得(年収約 370〜770万円)の場合:上限額は57600円です。
つまり、合計が 57,600円を超えたら → 超えた分が払い戻されます。高額療養費制度は意外と誰にとっても身近な制度なのです。
まとめ:選択肢を広げる「大人のマネーリテラシー」
自費治療にはメリットがあります。 しかし、保険治療には「高額療養費制度」という強力な味方がつきます。もちろん治療においては、お金の事だけでなく、自分自身の選択がありますが、お金の事実も知っていれば その選択肢を選ぶとき、一つの知識として検討の役に立つ事もあるかもしれません。
スケジュールは「月内」でまとめるのが鉄則
なお、プチ裏技と備忘録ですが(病気に関する事ですので、出来るとは限りませんが↓)
- 月末に治療を始めるより、月初にまとめた方が有利(月跨ぎで21000円を超えない時がある)
- 家族でも、同じ医療機関・同じ診療科 なら合算可能(※但し個々人が月21000円以上の場合)
- 21,000円未満は切り捨て
です。またなかなか知られていないと思いますが「薬局(調剤薬局)は「処方元の診療科」とセット扱い」に出来ますので、それも下記にまとめておきます。
薬局(調剤薬局)は「処方元の診療科」とセット扱いとは?
例:
- A病院(内科)15,000円
- A病院の処方箋 → 薬局 8,000円
薬局は別店舗でも、 内科の医療費として合算できます → 23,000円(21,000円超え)これは意外と知られていないのではないでしょうか。
医療費控除との併用も可能
そしてもちろん医療費控除との併用は可能です。
- 高額療養費の払い戻しは数か月後
- 医療費控除は確定申告時を過ぎても大丈夫。5年以内なら遡って申告可能
- 「高額療養費 → 医療費控除」 の二段構えで負担を減らせます。
最後に:制度は「知っている人だけが守られる」
保険組合は「家族で同じ病院に通って21,000円を超えている」 という事、自動で教えてはくれません。というより気が付きません。ですので領収書は自分自身で管理することは大切です。 “お金を取り戻すチケット” と捉えて、 月末にまとめてチェックする習慣をつけておくと安心です。
迷ったら、保険組合に電話しよう
とはいえ、領収証を見ても、実際には申請して良いか悩むことも出てくると思います。その時は、領収書を手元に置いて、保険組合に こう聞いてみてください。
「同じ月に、同じ医療機関で21,000円を超えている医療費があります。 これは世帯合算の対象になりますか?」
そうすればプロがその場で計算してくれます。医療費は抑えることが出来ない出費ですので、医療費を抑えるために 通院を我慢 なんてことになるのも辛い事です。高額療養費制度は何も大きな病気を抱えている方だけのもの、というわけではありませんので、日ごろから合計額をチェックする習慣をつけてみてはいかがでしょうか。