「通常価格50,000円が、本日だけ29,800円。」「このマンションの皆さまへ。」「多くの方がご利用されています。」
このような言葉を目にしたとき、私たちは知らず知らずのうちに、その最初に提示された情報を基準にして判断してしまうことがあります。うちのマンションに必要な情報なんだ、とか、皆利用しているんだ、とか、そうか今日は安いのね、などの” 思い込み”が生まれることがあります。
心理学では、このような現象をアンカリング効果と呼びます。アンカー(Anchor)とは「いかり」のことです。船がいかりを下ろすと、その場所を基準に動くように、私たちの判断も最初に見た数字や言葉を基準にしてしまうことがあるのです。
最初の情報には影響力がある
例えば「通常10万円の商品ですが、今回は5万円です。」と言われると、多くの人は「半額だからお得ね」と感じます。しかし、本当に大切なのは「半額かどうか」ではないのですよね。
自分に本当に必要な商品??
その視点こそ、本来は最初に考えるべきことです。ところが、私たちの脳は最初に提示された数字に引っ張られ、その後の判断まで影響を受けてしまうことがあります。
老後は特に 気を付けたい理由
アンカリング効果は、年齢に関係なく誰にでも起こる心理です。しかし、老後は住宅設備や保険、リフォーム、通信サービスなど、生活に関わる契約を判断する機会が少なくありません。
内容が複雑だったり、一度の契約金額が大きかったりするため、「最初に提示された情報」を基準に考えてしまうと、本当に必要かどうかを冷静に考える時間がなくなってしまうことがあります。また、年を取るほど、人を疑わなくなる可能性もあります。
もちろん、年齢だけが理由ではありません。忙しいとき、疲れているとき、不安を感じているときも、私たちは比較したり調べたりすることを後回しにしやすくなります。
だからこそ、誰にでも起こり得る心理なのです。
情報の発信元を確認する理由
私たちの身の回りには、さまざまな案内やお知らせが届きます。その中には、一見すると「契約することが前提」のような印象を受けるものもあるかもしれません。
管理会社を通じて配布された案内。
金融機関からのお知らせ。
「皆さまへ」と書かれた通知。
こうしたものを見ると「これは申し込むものなのかな。」「みんな契約しているのかな。」と感じてしまうことがあるのではないでしょうか。
しかし、実際には任意のサービスであり、契約するかどうかは自分で自由に決められるものも少なくないものです。大切なのは「届いた」という事実と、「契約する必要がある」ということは別だということです。
私のマンションも「大手の企業」から「管理会社」を通して届いた「ある設備申し込み」は、あまりよくない営業でした(←言葉を選んでいます)。それは調べると、ネット上でも有名な営業手法でした。
当初は会社名と管理会社経由という組み合わせですっかり信じ込んでしまいましたが、何とか申し込み前に、申し込む必要が無いものであると気づくことが出来ました。
営業における心理学:アンカリング効果
アンカリング効果というものを知っていることで「自分は最初に見た数字に惑わされていないかな?」「これは本当に必要な契約かな?」と、一度立ち止まることができるかもしれません。
そしてその問いが、今後の大きな出費や後悔を防ぐことにつながるのではないかと思います。

