「老後破産」という言葉を聞くと、「老後のために、きちんと貯金していない人の話」と思うかもしれません。しかし、老後の家計が苦しくなる原因は、単純に貯金額だけではありません。
現役時代には問題なく見えていた家計でも、退職によって収入が減ったり、医療や介護などの支出が増えたりすることで、少しずつ家計のバランスが崩れていくことがあります。
実際、老後の経済的な不安として、物価上昇や収入・貯蓄の不足、医療・介護費などを挙げる人は少なくありません。
では、どのような人が老後の家計で苦しくなりやすいのでしょうか。ここでは、特に注意したい5つの特徴を紹介します。
今の生活を優先し、将来のお金を後回しにしてしまう
人間は、遠い将来のことよりも、目の前にある楽しさや必要性を優先しやすいものです。「老後のことは、まだ先だから」「今は子どもの教育費が大切」「今の生活を楽しみたい」そう考えて、老後のお金について考えることを後回しにしてしまうことがあります。
もちろん、今の生活も大切です。
ただ、老後資金について何も考えないまま時間が過ぎてしまうと、後から取り戻すことが難しくなる場合があります。大切なのは、今を我慢し続けることではありません。少額でもいいので、「将来の自分のためのお金」を先に確保する習慣を持っておくことです。
現役時代の生活水準を、そのまま老後にも続けてしまう
現役時代は、毎月の収入があるため、「これくらいなら大丈夫」と思っていた支出でも、退職後には大きな負担になることがあります。
特に注意したいのが、長年続けてきた生活習慣です。
外食、旅行、車、趣味、買い物など、一つひとつは大きな問題に見えなくても、収入が減った後も同じ生活を続ければ、貯蓄の取り崩しが早くなる可能性があります。
老後に大切なのは、「何にいくら使うか」を知っておくこと。
現役時代から、自分たちの生活に本当に必要な支出と、減らしても困らない支出を把握しておくと安心です。
毎月の収支を把握していない
「だいたいこのくらい使っている」という感覚だけで家計を管理していると、老後になってから思わぬ問題が見つかることがあります。
特に怖いのが、「毎月いくら不足するのか分からない」という状態です。老後は、現役時代より収入を増やすことが難しくなる場合があります。
そのため、収入-支出=毎月いくら残るのか。あるいは、年金-生活費=毎月いくら不足するのかを知っておくことが重要です。
総務省の家計調査でも、高齢者世帯の収入・支出や貯蓄・負債などが継続的に調査されています。老後のお金を考えるときは「いくら貯めるか」だけではなく、「毎月いくら必要なのか」を把握することが基本になります。
家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)
住宅ローンなどの大きな固定費が老後まで残っている
現役時代には払えていた住宅ローンも、退職後に収入が減ると大きな負担になることがあります。特に、「退職後も住宅ローンの返済が続く」という家計は、老後の収支を考えるときに注意が必要です。
住宅ローンだけではありません。
- 車のローン
- その他の借入
- 高額な固定費
なども、収入が減った後に残っていると家計を圧迫します。老後に入る前に、「今の固定費を、そのまま年金生活でも払えるのか」を一度確認しておくことが大切です。
「想定外の支出」を考えていない
老後資金というと、「毎月の生活費×何年分」という計算をすることがあります。しかし、人生は毎月同じ金額だけで暮らせるとは限りません。病気やけが、介護、住宅の修繕、家族の事情など、予定していなかった支出が発生することがあります。
内閣府の調査でも、高齢者が経済面で不安に感じるものとして、医療・介護費や、生活できなくなった場合の転居・施設入居費などが挙げられています。だからこそ、老後資金を考えるときには「毎月の生活費」だけではなく、「もし大きな支出が発生したらどうするか」まで考えておくことが大切です。
老後破産を防ぐために大切なのは、「貯金額」だけではない
老後のお金について考えると、「老後資金は○○万円必要」という数字ばかりが気になってしまいます。もちろん貯蓄は大切です。
でも、本当に大切なのは、自分たちの老後の収入と支出を知ること。そして、どこにお金が流れているのかを知ること。
さらに、予定外の支出が起きたときに、どう対応するのかを考えておくこと。この3つです。
老後破産は、ある日突然起こるとは限りません。毎月少しずつ赤字が続き、気づかないうちに貯蓄が減っていく。そんなところから始まることもあります。
だからこそ、まだ現役世代のうちに一度、「今の家計のままで、収入が年金中心になったらどうなるだろう?」と考えてみる。
それだけでも、老後のお金との向き合い方は変わってきます。老後の安心は、特別な人だけが手に入れるものではありません。
今の家計を知ることから、少しずつ準備していきたいですね。

