老後の生活費を考えるとき、「今、毎月いくら使っているか」をもとに、老後に必要なお金を考えることがあります。もちろん、今の家計を知ることは大切です。でも、老後の家計を考えるなら、もう一つ見ておきたいことがあります。
それは、「今の支出が、老後も同じように続くとは限らない」ということです。
仕事をしている今と、仕事を辞めた後では、生活そのものが変わります。だから、老後のお金を考えるときは、現役時代の家計簿をそのまま老後に当てはめるのではなく、「この支出は、老後にはどうなるだろう?」と、一つずつ見直してみると分かりやすくなります。
「減る支出」
仕事をしている間には必要でも、退職すると減る可能性がある支出があります。たとえば、
- 通勤にかかる交通費
- 仕事用の服や靴
- 職場での昼食代
- 仕事上の付き合いにかかる費用
- 仕事のための資格や勉強にかかる費用
などです。もちろん、仕事を辞めたからといって、すべての支出がなくなるわけではありません。
外食が好きな人なら、昼食代が別の形で残るかもしれません。車通勤をしていた人が、退職後も車を使い続けることもあります。大切なのは、「退職したら、この支出は本当に必要だろうか?」と考えてみることです。
「残る支出」
一方で、仕事を辞めても、ほとんど変わらず必要になる支出もあります。たとえば、
- 食費
- 水道光熱費
- 通信費
- 住居費
- 日用品費
- 保険料など
です。特に住居費は、老後の家計を考えるうえで忘れたくない支出です。住宅ローンが残っている場合や、賃貸住宅に住んでいる場合など、住まいによって必要なお金は大きく変わります。
「仕事を辞めれば生活費も大きく減るはず」と考える前に、「働かなくなっても残る支出は何か」を確認しておくと、老後の生活をより具体的にイメージできます。
「増えるかもしれない支出」
仕事を辞めると支出が減ることばかり考えてしまいますが、年齢を重ねることで増える可能性のある支出です。老後の家計を考えるとき、とても大事な部分です。
たとえば、
- 医療にかかる費用
- 介護に備えるためのお金
- 住まいの修繕費
- 移動や交通にかかる費用
- 自分で行っていたことを人に頼むための費用
など。この部分は、かなり高額になってくる可能性があるかもしれません。
もちろん、すべての人に同じように増えるわけではありません。だからこそ、「老後は医療費が○万円増える」と決めつけるよりも、「もし増えたら、家計はどうなるだろう?」と考えておくことが大切です。
「老後だからこそ使いたいお金」も忘れない
もう一つ、家計簿を見るときに忘れたくないものがあります。それは、自分が老後にやってみたいことに使うお金です。
旅行をしたい。
趣味を楽しみたい。
友人と食事をしたい。
今まで忙しくてできなかったことを始めたい。
老後の家計を「いかに節約するか」だけで考えてしまうと、こうしたお金が後回しになってしまいます。
でも、老後は生活するためだけの時間ではありません。「何を削るか」だけではなく、「何にお金を使いたいか」も、一度考えてみたいところです。
今の家計簿を「老後の目」で見てみる
難しい老後資金の計算を始める前に、まず今つけている家計簿を少し違う目で見てみるのが良いかもしれません。たとえば、支出の横に、
①老後には減りそう
②老後も残りそう
③老後に増えるかもしれない
④老後も楽しみのために使いたい
と書いてみます。すると、今まで「毎月○万円使っている」としか見えていなかった家計が、「これは仕事をしているから必要なのか」「これは老後も必要なのか」「これは将来増える可能性があるのか」というふうに見えてきます。
「老後の家計簿」と「現役時代の家計簿」の違い
老後のお金を考えるとき、節約の事ばかり考えてしまうことがありますが、でも、家計簿の役割は、それだけではありません。自分がどんな暮らしをしたいのかを考えるための材料にもなります。
現役時代の家計簿は、「今の生活を維持するために、いくら必要なのか」を知るためのもの。老後の家計簿は「これから、どんな生活をしたいのか。そのために、どんなお金が必要なのか」を考えるためのもの。
そんなふうに考えてみると、家計簿の見え方が少し変わるかもしれません。