「断ったら申し訳ない。」
「困っているなら助けてあげたい。」
「ここまでしてもらったから、断れない。」
そんな気持ちになったことはありませんか?なんだか嫌と言えなくて、自分のお金も心も差し出してしまっている。もしそんな心当たりがあったとしても、それは意志が弱いからではありません。あなたの中にある「優しさ」が働いているからです。
優しさは、人間関係を豊かにしてくれる大切な力です。しかし、その優しさに少しだけ心理学の知識を加えることで、自分のお金も心も守りやすくなります。何かいつも損な役回りに。。そう感じることがあったらこの記事がお役に立てるかもしれません。
下記に5つの心理的要因を挙げています。あなたはどれに当てはまりそうでしょうか。
共感する力が高い人ほど、相手を優先しやすい
心理学では、人の気持ちを理解しようとする力を「共感性(Empathy)」と呼びます。共感性が高い人は、「相手が困っているなら助けたい。」という気持ちが自然に湧いてきます。
それは、とても素晴らしい長所。しかし、その優しさから、
- 必要以上にお金を貸してしまう
- 頼まれると断れない
- 本当は必要のない商品を買ってしまう
ということもあります。優しい人ほど、「相手の気持ち」を大切にするあまり、「自分の生活」を後回しにしてしまうことがあるのです。
そこで優しい人が陥りがちな「小さな損への入り口」について、解説しています。知っておくだけで、あ。。気を付けた方がいいな。って気が付く場面が増えてくると思います。
返報性の原理
試食をもらったり、無料相談を受けたり、親切に対応してもらったあと「何も買わずに帰るのは悪いな。」と思った経験はありませんか?
これは心理学で知られる「返報性の原理(Reciprocity)」によるものです。人は、何かをしてもらうと、「お返しをしなければ」という気持ちが自然に生まれます。
大型スーパーや路上で、ティッシュを配りながら話を聞いてもらうコーナーへ案内される事があるのも、この心理が使われていますね。人間関係を円滑にする大切な働きですが、
お金が関わる場面では、冷静な判断を難しくすることもあります。
「はい」を重ねると、断りにくくなる
営業や日常会話の中では、小さな同意を積み重ねながら話が進むことがあります。これには「一貫性の原理(Commitment and Consistency)」という心理が関係しています。
一度「はい」と答えると、人はその流れを続けたくなる傾向があります。それにつられて、どんどんと会話が進んでしまった末には、断りづらくなり、物を購入してしまうとか、代わりに何かしておいてあげるとか、そんなことをつい言ってしまうかもしれません。
はい。と言っているうちに、反対意見を言わない”自分という像”を壊す事をしなくなるのです。けれど気を付けてください。判断は、流れの中で決める物ではありません。一つ一つ丁寧にYes.Noを出して良いのです。
だからこそ、特にお金に関する事の場合にも「少し考えます。」という一言は、自分の判断力を守るためにも大切です。
境界線は、自分を守るためにある
カウンセリングや心理学では、「バウンダリー(Boundary/心理的境界線)」という考え方があります。これは、「相手の問題」と「自分の問題」を分けて考えること。という意味です。
例えば、相手が困っているからといって、自分の生活まで苦しくなるほど助け続ける必要はありません。飛行機では、緊急時に「まず自分の酸素マスクを着けてください。」と案内されますが、それは、自分が倒れてしまえば、人を助け続けることができないからです。
日々の生活の中で、何か無謀な事をお願いしてくる人が居るかもしれません。そういう人は「頼まれると嫌と言えない」優しい人をターゲットにしてくる可能性があります。
自分の生活を守ることは、決して冷たいことではありません。人への優しさを優先し、自分を見失わない事は、自分のお金も時間も守る事に繋がります。
「与える人」が幸せでいるために
組織心理学者のアダム・グラントは、人には大きく分けて
- ギバー(与える人)
- マッチャー(バランスを取る人)
- テイカー(受け取ることを優先する人)
という傾向があると紹介しています。ギバーは、人を助けたり、応援したりすることに喜びを感じる人。社会にとって、とても大切な存在です。
しかし、自分を犠牲にし続けるギバーは、心も家計も疲れ切ってしまうことがあります。だからこそ、「与えること」と「自分を守ること」の両方を大切にすることは、長く人を支える力につながります。
ギバーは人を助ける素質を持っているからこそ、短い期間を支えて自分が壊れてしまうよりも、長く人を支えることを優先する方が、自分にとっても望むゴールになるのではないでしょうか。
おわりに
「いい人」は、お金で損をしやすい人ではありません。ただ、人を思いやる気持ちが強いからこそ、自分のことを後回しにしてしまうことがあります。そしてお金と時間を奪われてしまう事があります。だからこそ、優しさに心理学の知識を加えてみてください。
共感すること。助けること。応援すること。それらは、これからも大切にしていいものですが、その優しさを長く続けるためには、まず自分の生活を守ることが大切です。それもまた、大切な優しさなのではないでしょうか。

