年金の時効まとめ【貰い忘れ・支払忘れ】防ぐ確認法

老後の年金不安

年金は、貰える年齢になれば自動的に貰えるような気がしますが、実は自分できちんと請求しないと貰えません。この手続きにも時効があります。年金の請求をしないでいると それ以前の権利が消え、年金が貰えなくなってしまいます。
 

また自分が払っていたつもりでも、国民年金の支払い漏れ、忘れなどがあることも。その場合も年金開始前に手続きしておかないと年金額が減ってしまいます。
 

ただでさえ将来、年金だけで足りるか不安な中、貰える筈の年金まで消えてしまっては元も子もありません。貰える筈の年金を取りこぼしなく貰うための確認方法をまとめました。
 



加入していた年金記録を確認する

毎年お誕生日には年金定期便というお便りが来ますが、必ず下記の加入履歴を確認してみましょう。
 



その1:厚生年金・厚生年金基金などの加入記録を確認する。

・パートなど様々な形態で働いた事のある人は、 厚生年金に加入していた時期に関して全ての記録があるか確認する。

 

私の場合にも、加入記録に間違えがありました。実は、初めて年金定期便が来始めた頃に、聞いたことも無い「企業年金」の加入歴があったのです。小さな法律事務所で働いていた事があるのですが、その時、事務所が「ある基金」に加入していたようです。ただ、その事務所自体が企業年金に加入したタイミングが丁度、私の退社2か月前~だったため、私は、何らかの事情に寄り加入者証を貰いそびれたようです。加えて給料天引きだったため、その企業年金に加入している自覚はありませんでした。
 

そこで、問い合わせをしましたが、今度は、何らかの手違いで企業年金加入記録がありません。年金定期便にだけ記録が残っている状態だったということです。私は給与天引きされていたにも拘らず、これぞ「消えた年金」状態となりました。数年後、企業年金連合会の調査により、私の企業年金加入歴も認められました。
 

また、別の件ですが、私の場合に、厚生年金が重複(※番号違いで2つの厚生年金を持っていました)していた時期もあります。そこで最寄りの社会保険事務所にて、統一してもらっています。年金手帳には「重複取り消し」の印が押されました。当時は年金定期便が来ていない時代の事ですが、社会保険事務所で調べてもらうと、一発で確認修正できました。
 



その2:国民年金の支払い漏れなどの確認をする

・会社を辞め自営業になられた時などの 国民年金の支払い漏れ
・女性がお勤めから専業主婦になった時の 第三号被保険者になる届け出漏れ
・扶養の主婦(第三号被保険者)の収入増による第一号被保険者への変更漏れ
・旦那様が退職後、奥さまが60歳未満の場合の 第1号被保険者への変更忘れによる支払い漏れ(旦那様の退職後14日以内)
・旦那様が65歳になった日から 奥様は第1号被保険者への変更になる手続き忘れによる支払い漏れ

 

などによる支払い漏れや変更忘れの期間が無いかを確認します。
 

第三号被保険者への届け出漏れは、過去の届け出漏れ期間が救済されますし、その他の支払い漏れも、後に加入期間を増やす事で年金を増やす事が出来ます。また、国民年金の保険料は、納付期限から2年以内であれば納めることができます。しかし納付期限から2年を過ぎると、時効により納めることができなくなります。
 



年金を請求する

年金を貰う手続きの前に、上記のような加入記録を確認しておくと不明点があった時に慌てないで済みます。いざ年金を支給してもらうときには、年金給付の「裁定請求書」というものを提出します。

・国民年金だけの人は市区町村役場に提出。
・国民年金と厚生年金の両方に加入期間のある人は 社会保険事務所に提出。
・厚生年金基金に加入したことのある人は 厚生年金基金の連合会

 

に提出します。
 



年金には時効がある

厚生年金・厚生年金基金には「時効5年」があります。年金の請求をしないでいると権利が消えてしまいます。しかし やむを得ない事情により、時効完成前に請求をすることができなかった場合は、その理由を書面で申し立てることで、基本権を時効消滅させない取扱いをしてもらえます。
※平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金について時効を援用しない場合は、申立書の提出は不要です。
 

また、平成19年7月7日以降に受給権が発生した年金の支分権(年金を受給する基本権ではなく、年6回に分けて支払われる月ごとに分割された年金を受ける権利)は、5年を経過したときは時効によって消滅します。ただし、年金記録の訂正がなされた上で裁定が行われた場合などには、支分権が時効消滅している場合であっても、全額が支給されます。5年を経過しても自動的には消滅しません。
 

年金繰り下げ時の時効には注意

年金繰り下げ待機中に加入者が亡くなられた場合

年金繰り下げ待機中に加入者が亡くなった場合は、増額無しでの5年分が一時金として支払われますが、5年より前の分は時効で貰えません。

日本年金機構 年金の繰り下げ より

繰下げ請求は、遺族が代わって行うことはできません。繰下げ待機中に亡くなった場合で、遺族の方からの未支給年金の請求が可能な場合は、65歳時点の年金額で決定したうえで、過去分の年金額が一括して未支給年金として支払われます。ただし、請求した時点から5年以上前の年金は時効により受け取れなくなります。

 

繰り下げ受給中に加入者が亡くなられた場合

年金繰り下げ受給開始後に加入者が亡くなった場合は、例え受給期間が数か月しかなかったとしても、一時金も貰えません。
 

年金支払忘れの時効

国民年金の保険料は、納付期限から2年以内であれば納めることができます。しかし納付期限から2年を過ぎると、時効により納めることができなくなります。
 

年金の種類と時効の期間

・老齢年金の時効 5年 
・障害年金の時効 5年 
・遺族年金の時効 5年 
・未支給年金の時効 5年 
・死亡一時金の時効 2年
・脱退一時金の時効 2年
 

詳しくは:日本年金機構「年金の時効」
 

年金には時効があるという事を肝に銘じておくことが、年を重ねたときに年金の貰い忘れを防ぐ大事なことになります。せっかく収めてきた年金なので、充分に気を付けたいですね。
 

※「定年後の保険はどうする?」についても下記でまとめています。
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