年金の「繰上げ受給」。 「早くもらえるなら、ちょっとくらい減ってもいいかな?」なんて考えることもあるかもしれません。また人生は人それぞれですので、もちろん健康面や金銭面などで色々な判断もあると思います。
そこで「繰り上げ受給の落とし穴」について まとめてみました。
繰り上げ受給で消える大切な権利
年金は、一度「繰上げ」を選択してしまうと、単に年金額が減るだけじゃなく、大切な「権利」がいくつも消えてしまいます。
● 一生、減額されたまま。(一度決めたら一生戻せません)
● もしもの時の「障害年金」が受けられない可能性。(これが一番怖いです)
● 夫に先立たれた時の「寡婦年金」も貰えなくなる。
一度「繰上げ」の手続きをすると、制度上は「無理やり時計の針を65歳まで進めた人」扱いになってしまいます。まだ60代前半でも、現役世代としてのセーフティネットが外れてしまうような感覚です。意外と知らない方も多いのではないでしょうか?
それではどんなリスクがあるかというと?下記に3つの大きなリスクをまとめています。
繰上げ受給【3つの大きなリスク】
●「障害年金」が受けられなくなるリスク
65歳前に病気やケガで動けなくなった時、本来なら「障害基礎年金」を請求できる権利があります。でも、繰り上げをしてからの初診の病気では、障害年金を貰えない可能性があります。
●寡婦年金が消えてしまう
夫を亡くした妻を支える「寡婦年金(60〜65歳の間)」は、妻本人が自分の年金をもらい始めるまでの「つなぎ」の役割です。自分の年金を繰り上げると「つなぎはもう不要」と判断され、権利が完全に消滅します。
●失業手当との「同時受給」ができない
65歳前は「働く意思がある人(失業保険)」と「引退した人(年金)」を同時に応援することはできないというルールがあります。繰上げを選ぶと、ハローワークで手続きをした途端、年金が全額止まってしまいます。
昔は「55歳」が当たり前だった?
年金制度の歴史を紐解くと、 今でこそ「65歳まで雇用確保」が当たり前ですが、昭和の時代、多くの企業の定年は55歳でした。そのため、年金制度もそれに合わせて設計されており、「55歳で退職して、そのまま年金をもらい始める」という流れが想定されていました。
・男性の支給開始年齢: 昭和29年までは55歳からでした。
・女性の支給開始年齢: 実は女性はもっと長く、昭和61年(1986年)改正まで、もともとの支給開始年齢が「55歳」でした。
55才から年金を貰っていた時代があるなんて、今から想像すると びっくり ですよね。
年金開始60歳へ
そしてやって来る年金開始60才の時代。
男性のケースでは、昭和29年から段階的にスタートし 完全に60歳になったのは 昭和48年(1973年)。
女性は男性よりも引き上げの時期がかなり遅く、しばらく55歳のまま。大きな転換点は、昭和61年(1986年)の基礎年金導入(新法)。完全に60歳になったのは、なんと 平成12年(2000年)だったそうです。
そして年金開始が65歳への引き上げられたのは、平成に入ってから。
年金繰り上げに潜むリスク まとめ
平均寿命が延びたことで年金制度も変わっていきました。いま私たちは「自分で受給時期を選ばなければならない」という難しい選択を迫られる時代になりました。
年金は、長く生きるための「保険」。 その保険の機能を、いつ使うか?いつ使うのが一番大切か、は人により異なります。そしてそれは、老後の人生を決める大きな選択肢でもあります。
なのでもしも今、何も不自由を感じていないのなら、その「保険の力」を わざわざ弱めてしまう事は、リスクも伴う事を念頭に入れる必要があるかもしれません。
分からない事などは、お近くの年金事務所を訪れることをお勧めします。年金加入記録を確認しながら、今の時代に即した、そしてご自身の生活スタイルに合わせた受け取り方が分かりますよ。
YouTubeなどでも色々情報が出ていますが、万人に対しての説明で無かったりもします。年金事務所なら何より、ご自身の加入履歴を確認しながら、職員さんがしっかりと個人個人の状況に合わせて説明してくれます。ご不明な点があれば、ぜひ年金事務所に行ってみてくださいね。
