年金繰り下げによる受給額増額に関しては誰もが興味ある事ですが、その総額の裏には当然ながら注意点もあります。下記より年金繰り下げ5つの欠点と、年金受給までに実際にかかる日数、年金事務所への相談の仕方についてまとめています。
年金の繰り下げに潜む5つの欠点
【1.加給年金が受け取れない 】
繰り下げ期間中は年40万円の加給年金を受け取ることができません。そのため配偶者がいる場合などは特に注意が必要です。特に年の離れた配偶者がいる場合には、年金事務所に行き試算してもらった方が安心です。
【2.税金や社会保険料の負担増 】
年老いてから受給することとなる年金額が増えることで、所得税や住民税、そして介護保険料や医療保険料が増加する可能性があります。結果として、手取り額が思ったほど増えない場合があります。また介護保険や医療保険を使う場合に、負担割合が増える可能性があります。
【3.遺族年金が増額されない】
繰り下げによって増額された年金額は本人のみが対象です。残された家族が受け取る遺族年金には反映されません。
【4.元を取るためには長寿が必要 】
繰り下げによる増額分を得るためには、一定の年齢まで生きる必要があります。例えば、70歳から受給を開始した場合、81歳以上まで生きないと累計受給額が65歳開始の場合を上回らないことがあります。
【5.健康状態や生活状況のリスク 】
繰り下げ期間中に健康状態が悪化したり、予期せぬ出費が発生した場合に年金を受け取れない期間が生活に影響を及ぼす可能性があります。年金を一年繰り下げその後の受給額を増やしたとしても、繰り下げによる増額分が繰り下げをしなかった時より上回るのは、相当年数が経ってからになります。
持病などを抱えている場合な度も含め、年金は繰り下げずに医療費として確保しておくことも検討しておいた方が良いかもしれません。
年金受給の手続き申請~実際に受け取るまでにかかる期間
ちなみに、年金受給の手続き申請から実際に受け取るまでには、通常2~3か月程度かかります。以下が一般的な流れとなります。
【1.年金請求書の提出】
年金請求書を年金事務所に提出します。この際、必要な書類(年金手帳、戸籍謄本、住民票など)を揃える必要があります。
【2.年金証書・決定通知書の送付】
年金請求書の提出後、約1~2か月で「年金証書」や「年金決定通知書」が送られてきます。
【3.年金振込通知書の送付と受給開始】
さらに1~2か月後に「年金振込通知書」が届き、指定口座に年金が振り込まれます。
※なお、年金は偶数月の15日に振り込まれるため、タイミングによってはさらに時間がかかる場合もあります。
年金繰り下げの欠点まとめ
年金事務所は何も教えてくれない!とか、そんな文言がネットに溢れていますが、そんなことはありません。ただ、年金事務所の人も、他人の人生を左右する年金受け取り開始日についてアドバイス出来ないのはやむを得ないのです。
現状を相談し、年金の試算をしてもらい、不明点や疑問点があれば年金事務所の人に聞いてみる。そうすることで必要な情報を得ることが可能です。