定年退職前にこれを知っておかないと、本来もらえるはずだったお金を逃してしまいます。「もらえるお金を全額しっかり受け取る」ための大事なチェックポイントをまとめました。
特に、退職後の手続きには「20日間」という非常に短い期限のものもありますので、今のうちに確認しておいてはいかがでしょうか。
1. 定年後に働くなら「65歳まで」がひとつの目安
老後の資金を少しでも増やしたいのであれば、まずは 65歳まで働く のが一つのゴールです。それ以降も元気に働ける環境があれば、さらに理想的といえます。
2. 社会保険(健康保険・厚生年金)への加入
定年後に再雇用で働く、あるいは新しい職場で再就職する場合、できれば「社会保険」に加入したいところです。
- 加入の目安: 原則として正社員の4分の3以上の労働時間・日数があれば加入できます。
- 注意点: 従業員数51人以上の企業であれば、週20時間以上の勤務でも加入対象となる場合があります。面接や契約更新時に必ず確認しましょう。
3. 収入減を補う「高年齢雇用継続給付」
【60歳以降も、失業保険を受け取らずに働き続ける場合】
給料が60歳時点の75%未満に下がった場合、65歳まで「高年齢雇用継続給付」が受けられます。
- 支給額: 給与が61%未満に下がった場合、現在の給与額の10%(※)が支給されます。
- 例: 60歳時の月収が40万円で、60歳以降の月収が20万円(50%に低下)になった場合、20万円の10%である2万円が毎月支給されます。
※重要ポイント(法改正): 以前は15%支給でしたが、2025年4月以降に新たに60歳に到達する方からは「最大10%」へと改正されています。計算違いにご注意ください。
4. 失業保険(基本手当)との賢い付き合い方
【60歳以降、一度退職して失業保険をもらってから再就職する場合】
一度失業保険を受け取ってから再就職した場合は、「高年齢再就職給付金」という制度に変わります。
- 支給期間の違い:
雇用継続給付: 65歳までずっともらえる。
再就職給付金: 失業保険の残り日数に応じて、最長で「1年」または「2年」のみ。 - 検討のポイント: 失業保険をもらうと「再就職給付金」になりますが、受給期間が短くなるため、トータルでどちらが多くもらえるかは慎重に検討が必要です。また、65歳前に失業保険をもらうと、その間は 年金が全額停止 になる点も要注意です。
5. 手続きのために準備しておくこと
退職してから慌てないよう、以下の流れを押さえておきましょう。
●資格確認: 今の会社で「高年齢雇用継続給付」の受給資格確認をしてもらい、ハローワークで「高年齢雇用継続給付受給資格確認通知書」を受け取っておく。
●新しい職場での手続き: 再就職が決まったら、新しい職場にその通知書を提出することで給付金の請求ができます。
●20日以内の手続き: 健康保険を「任意継続(今の会社の保険を継続)」にする場合は、退職から20日以内に手続きが必要です。期限が非常に短いので、真っ先に済ませることをお勧めします。
6. 健康保険の賢い選び方(任意継続 vs 国民健康保険)
会社を退職する際、健康保険をどうするかは大きな分かれ道です。
🌸任意継続保険: 勤めていた会社の保険に最大2年間入り続ける方法です。
メリット: 扶養家族をそのまま入れられる、保険料に上限がある。
注意点: 退職後20日以内の手続きが必須です。
🌸国民健康保険: お住まいの市区町村の保険に入る方法です。
注意点: 前年度の収入で計算されるため、退職直後の1年目は高額になりがちで、扶養という概念もありません。
【お得な切り替え術】
以前は一度入ると2年間辞められませんでしたが、現在は「いつでも本人からの申し出で解約」できるようになりました。 まずは保険料の上限がある「任意継続」を選んでおき、2年目になって前年の収入(退職後の低い収入)をベースに計算された「国民健康保険」の方が安くなったら、そのタイミングで切り替えるのが最も賢い方法です。
7. 失業保険(基本手当)の「65歳の壁」に注意!手当100日分違う
失業保険の65才の壁に注意してください、退職日を「65歳になる直前」にするか「後」にするかで、もらえる金額が大きく変わります。
🌸65歳未満(65歳の誕生日の2日前まで)に退職: 通常の「基本手当」として、90日〜150日分(※条件による)もらえます。
🌸65歳以上(65歳の誕生日の前日以降)に退職: 「高年齢求職者給付金」となり、一括で最大50日分しかもらえません。
法律上、誕生日の前日が「65歳になった日」とみなされます。たった1日の違いで給付日数が半分以下になることもあるため、退職日は慎重に決めるのが良いと思います。
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8. 老後の年金と資産運用
国の年金は受給を遅らせる(繰下げ受給)ほど受給額が増えます。
- 70歳まで遅らせれば 42%アップ
- 75歳まで遅らせれば 84%アップ(※184%は元の額を100%とした合計額です)
その間の生活費として、iDeCo(確定拠出年金)を「一時金」や「年金」として賢く受け取るのも手です。 また、退職後の資産運用については、2024年から始まった「新NISA」が非常に便利です。かつての「つみたてNISA」よりも自由度が高く、自分のペースで引き出せるため、老後資金の管理として検討する価値は十分にあります。
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まとめ
「定年後も働く」選択をするなら、給付金や社会保険をフル活用するのが賢い方法です。制度を正しく理解して、損のない老後設計をスタートさせてくださいね!
※手続きの期限
| 手続き内容 | 期限・タイミング | どこで行う? | 備考 |
| 健康保険の切り替え | 退職から20日以内 | お住まいの市区町村 または 以前の勤務先 | 「任意継続」にするなら20日厳守!1日でも過ぎると受付けられません。 |
| 年金の種別変更 | 退職から14日以内 | お住まいの市区町村 | 厚生年金から国民年金へ切り替える場合(60歳未満の配偶者がいる場合も要注意)。 |
| 失業保険(基本手当) | 退職後、速やかに | ハローワーク | 離職票が届いたらすぐに行きましょう。年金との併給停止ルールに注意! |
| 高年齢雇用継続給付 | 再就職後、速やかに | 新しい勤務先 | 60歳時点の賃金月額証明書など、前の会社からもらう書類が必要です。 |
| 確定申告 | 退職した翌年の2月〜 | 税務署(e-Taxも可) | 年の途中で退職して再就職しない場合、税金が戻ってくる可能性が高いです! |
手続きはどれも難しそうに見えますが、窓口の方はとても親切に教えてくれます。まずは『離職票』と『雇用保険被保険者証』を失くさないように、大切に保管しておくことから始めてみてくださいね。







