定年退職の前後は、手続きのタイミングを逃すと「本来もらえるはずのお金」が減ってしまうことがあります。 ここでは、損をしないために知っておきたい大切な5つのポイントを、やさしくまとめました。
定年後に働く場合も、働かない場合も共通して大切な内容です。 中には退職後20日以内という短い期限のものもありますので、早めに確認してみてくださいね。
1. 定年後も働く場合に知っておきたいこと
働く期間の目安
老後の資金を少しでも増やすなら、64〜65歳まで働くのが一般的には有利です。 体力や環境が許せば、それ以降も働くことで年金や貯蓄にゆとりが生まれます。
社会保険の加入(2026年版)
定年後の働き方は、再雇用でも再就職でも構いませんが、できれば社会保険に加入できる働き方が安心です。
2026年からは、短時間労働者の社会保険加入がさらに広がり、 企業規模に関係なく「週20時間以上・月額賃金8.8万円以上」などの条件を満たせば加入対象となる予定です。
(従来の「正社員の4分の3以上」という基準も残りますが、加入できる人の範囲が広がります。)
2. 収入が減った時に受け取れる給付金
(1)60歳以降も働き続ける場合
60歳以降、賃金が60歳時点の75%未満になると、 高年齢雇用継続給付金の対象になります。
賃金がさらに下がり、61%未満になると、支給率は最大15%となります。 (61〜75%の間で支給率は段階的に変わります。)
例: 60歳時点の賃金月額40万円 → 60歳以降の賃金20万円 → 20万円 × 15% = 3万円支給
失業保険を受け取るとどうなる?
60歳以降に失業給付を受けると、 雇用継続給付金は併給できず、高年齢再就職給付金に切り替わります。
- 雇用継続給付金 → 65歳まで
- 再就職給付金 → 最長2年
金額面では雇用継続給付金の方が有利なことが多いため、 失業給付を受ける前に一度確認することをおすすめします。
3. 失業保険を受け取ってから再就職する場合
60歳以降に失業給付を受け、その後再就職した場合は、 高年齢再就職給付金が最長2年間支給されます。
ただし、失業給付(基本手当)をどれだけ受け取ったかによって、 支給額が変わる仕組みになっています。
4. 定年後に働かない場合の健康保険(2026年版)
退職後は、次のどちらかを選ぶことになります。
- 任意継続被保険者制度
- 市区町村の 国民健康保険
退職後も最長2年間、それまでの会社の健康保険組合に加入し続けられる制度です。
なぜ任意継続が大切?
国民健康保険は、前年の所得で保険料が計算されるため、 退職翌年は保険料が高くなることが多いからです。任意継続なら、保険料が比較的安く、家族を扶養に入れることもできます。
加入期限は退職後20日以内
まずは任意継続に加入して資格を確保し、 その後、国民健康保険とどちらが安いか比較する方法が一般的です。
2年目は国民健康保険が安くなることが多い
退職翌年は所得が下がるため、 2年目からは国民健康保険の方が安くなるケースが多くなります。
任意継続は原則2年間ですが、保険料を納めなかった場合は資格喪失となり、 その後は国民健康保険に加入できます。
5. 65歳前後で退職する場合の失業保険(2026年版)
65歳未満で退職すると、通常の失業給付(150日など)が受け取れます。 しかし、65歳に達してから退職すると「高年齢求職者給付金」(50日分)になります。
雇用保険では、誕生日の前日が「65歳到達日」と扱われます。 退職日を決める際は、この点に注意が必要です。
6. 老後の年金の受け取り方(2026年版)
国の老齢年金は、繰り下げるほど増額されます。
- 70歳まで繰り下げ → 42%増
- 75歳まで繰り下げ → 最大84%増
その間の生活費として、確定拠出年金(企業型DC・iDeCo)を 税負担を抑えながら受け取る方法を選ぶこともできます。
企業型DCの退職後の扱い
企業型DCは「解約」ではなく、 iDeCoへの移換が原則です(60歳まで引き出せません)。
投資を続けたい場合は、iDeCoやNISAを組み合わせる方法が考えられます。
まとめ
定年後の生活を安心して迎えるためには、 給付金・社会保険・年金の制度を正しく理解し、 もらえるものを確実にもらうことがとても大切です。
制度は複雑ですが、ひとつひとつ確認していけば大丈夫です。 どうか無理のないペースで、安心できる老後設計を進めてくださいね。※下記に手続き期限の表を貼っておきますね。
| 手続き内容 | 期限・タイミング | どこで行う? | 備考 |
| 健康保険の切り替え | 退職から20日以内 | お住まいの市区町村 または 以前の勤務先 | 「任意継続」にするなら20日厳守!1日でも過ぎると受付けられません。 |
| 年金の種別変更 | 退職から14日以内 | お住まいの市区町村 | 厚生年金から国民年金へ切り替える場合(60歳未満の配偶者がいる場合も要注意)。 |
| 失業保険(基本手当) | 退職後、速やかに | ハローワーク | 離職票が届いたらすぐに行きましょう。年金との併給停止ルールに注意! |
| 高年齢雇用継続給付 | 再就職後、速やかに | 新しい勤務先 | 60歳時点の賃金月額証明書など、前の会社からもらう書類が必要です。 |
| 確定申告 | 退職した翌年の2月〜 | 税務署(e-Taxも可) | 年の途中で退職して再就職しない場合、税金が戻ってくる可能性が高いです! |
手続きはどれも難しそうに見えますが、窓口の方はとても親切に教えてくれます。まずは『離職票』と『雇用保険被保険者証』を失くさないように、大切に保管しておくことから始めてみてくださいね。
色々な制度を知って、検討しながらなんとか少しでも上手にやりくりしたいですね。我が家は、主人が定年になってからは、私がバトンタッチで収入の軸を作ることも検討中です。



