「みんなで大家さん、分配金の支払いが遅延」
今朝の情報番組で、高齢者が投資被害に遭っているというニュースを目にしました。老後への不安が広がる中で、大切な資金をそこへ託してしまった方々の後悔を思うと、胸が締め付けられるのは私だけではないはずです。超高齢化会において、誰にとっても他人ごとではないかもしれません。
この投資商品は、成田空港近くの商業施設『GATEWAY NARITA』を対象としており、約3万8,000人から2,000億円規模の出資を集めたとされています。販売元は行政処分を受け、現在は解約が相次いでいるとのことです。
この「みんなで大家さん」は、20年ほど前からネットでもよく見かけた投資商品。度々問題も取りざたされていましたので、まだ被害者が出ている事に驚きも隠せませんが、その方がたの絶望を思うと、胸が痛みますね。
いまの世の中には高齢者の資金が奪われる事件が後を絶ちません。しかしこれは1980年代後半に米国で誕生した学問「金融老齢学」を知る事でも、回避の手綱を引き寄せることが出来るかもしれません。
金融老年学とは?
金融老年学とは、高齢者の資産管理や経済活動における課題を、老年学の知見を取り入れて解決を目指す学問分野です。
高齢者が安心して資産を活用できる環境を整えること、そして“いかに上手に資産を減らしていくか”という視点も、これからの時代には欠かせません。
高齢になると、認知機能の変化が金融判断に影響を与えることも分かっています。「上手な資産の減らし方」は「増やし方と同じくらい重要」と言われているのです。
老後の上手なお金との付き合い方
認知機能と衝動的消費について確認しておきたい事、知っておきたい事を、「本人」そして「ご家族」に分けてまとめてみました。
1) 高齢者自身で認知しておくべき事
①加齢による認知の変化を理解する
• 記憶力・注意力・計画性が低下しやすくなることを、まずは受け入れる。
• 前頭前野の働きが弱まり、熟慮よりも直感が優位になる傾向があることを知っておく。
②衝動的な行動の特徴を覚えておく
• 「今すぐ買わなきゃ」「これはチャンス」と感じやすくなる。
• 快楽や安心を求めて、即決してしまう傾向が強まる。
③詐欺の手口を忘れずに
• 「限定」「急げ」「特別」などの言葉で判断を急がせる手口があることを忘れずに。
• 孤独感や不安につけ込むケースも多い事を忘れずに。
2) 高齢者の家族ができる老後のお金の対策
①お金に関わる情報を共有。冷静な対話の場をつくる。
②お金の不安に気づいたら「一緒に確認しよう」「専門家に相談してみよう」と促してみる。
③金融記録を一緒に整理する
④ 本人の尊厳を守る言葉がけについて
年齢を重ねると、人生経験からくる判断への自信が強くなります。それは確かに尊いものですが、時代の変化に気づきにくくなることもあります。ご本人にとって“判断力の低下”を認めることは、自分自身への否定と感じられることもあるため、家族が無理に説得しようとしても、うまく伝わらないことがあります。だからこそ、言葉がけには細やかな配慮が必要です。
• 「ゆっくり考えましょう」
• 「今は情報が複雑な時代なので、専門家に相談するのも大事な力になるかもしれませんよ」
など、優しく配慮しながら伝えてみてはいかがでしょうか。
最後に:老齢時に気を付けるべきお金について
老いは誰にでも訪れるもの。
だからこそ、本人と家族が知識を持ち、対話を重ねることが大切です。高齢者が金銭的な被害に遭わないためにも、家族や社会が寄り添い、助け合って生きていくこと。そして高齢者自身も、金融リテラシーを少しずつ更新し続けることが、大切なお金と安心を守る第一歩になるのかもしれませんね。

