「介護は、どれだけ尽くしても後悔が残るもの」そんな言葉を、私たちはよく耳にします。
しかし、全力で寄り添った人にしか見えない介護の景色は、壮絶です。自分の時間を削り、介護を必要とする家族に全力で尽くす。その時間は、自分を犠牲にして生きてきた人にとって、悔いではなく、静かな誇りかもしれません。「最大限の寿命まで生きられるように支えた」という確かな実感です。
しかしその誇りの裏には、深い疲弊や犠牲が隠れています。介護は、愛だけでは続けられません。自分の命、またその他の家族の命を削ってしまうこともあるからです。
介護の現実:限界を超えた先にあるもの
介護者が倒れてしまえば、次の介護はできません。親の命を支えるために、自分や家族の命を犠牲にしてしまう、そんな構造は静かに多くの家庭を蝕んでいます。
「親のために介護を」という視点だけではなく、「要介護者と介護者、その他関わる家族全体のために」最善を選ぶ視点が、これからの超高齢化社会には必要です。介護は命のバトンです。誰かが倒れてしまえば、そのバトンは渡せなくなってしまうのです。
老人ホーム・介護施設を選ぶという選択肢
施設に入れることは、親を見捨てることではありません。むしろ、プロの手を借りることで、親の尊厳を守ることができる場合もあります。
老人ホーム選びは、「最期の時間をどう過ごしてほしいか」という問いでもあります。一度入居すれば、転居することは ほぼ無いかもしれません。親御さんや家族が安心して、穏やかに、そしてその人らしく過ごせる場所、それを探す為に出来るととしては、幾つも資料を取り寄せたり見学に行かれる事。それが、後悔しない施設選びに繋がると思います。
老人ホーム・介護施設選びのポイント
- 施設の種類(特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、グループホームなど)を理解する
- 見学時に見るべきポイント:職員の表情、入居者の雰囲気、匂い、音、空気感
- 「親らしさ」が保てるかどうか。その人らしい最期を支えられるか
施設選びは、条件だけでなく「感性」も大切です。「施設に入れる」のではなく「安心を託す」。五感で感じる安心感。施設選びは、決して親を家から放り出す事ではありません。
親の介護が必要になった時、そして自分が介護者となった時、自分を責めることで自分を苦しめる選択をする必要はありませんよ。
家族の誰かが苦しい時間を受け入れるのではなく、皆が幸せになれる選択を見つけていく時代。施設を選ぶという選択、信頼できる施設選びは、親の心にも、介護者の心にも、静かな安らぎをもたらす筈です。

